国家公務員=エリートという誤解について
私の父は、国家公務員でした。
ちなみに父は、公務員試験なんか受けておりませんで、コネ採用でございます。
「そんなばかな!」と思うでしょうね。もちろんその頃1960年代だって試験はあったはずでございますが、そこを回避してコネで入ることも可能なくらいゆるゆるだったのでございます。昭和はいい時代ですね。
さらに時代は下ってバブル時代ともなりますと、「わざわざ試験まで受けて公務員になんかなるやつはバカ」というのが、共通認識でした。”バカ”とは不出来という意味ではないですよ、優秀な人が公務員になろうとすれば「変わり者だねー」「やめときなよー」といわれてしまうということでございます。
腕に覚えがある人は民間で「24時間戦えますか」と昼はカイシャでデカい商談をまとめ夜はデカい儲け話を探して夜の街を彷徨い歩くというのが、優秀な人間のテンプレであった時代ですんで「なにをわざわざ稼げない公務員なんかに」という認識です。
そう、なにより、その時代までの共通認識だったのが、「公務員は安月給」ということです。バブル崩壊で民間の給与水準が崩壊して相対的に公務員が高給取りになってしまっただけなんです。んで、安月給だからこそ、それでは国を守れんでしょうということで、官舎だのなんだのと、手厚い福利厚生シフトが敷かれていたわけで、「我々の血税で高給取ってしかも福利厚生も贅沢だ!公務員許せん!」と怒りの炎を燃やす人というのは「そもそも」を知っている人間から見ると、笑えてくるわけでございます。
そもそも論のついでになぜそもそもかつての国家公務員が安月給だったかというと、それこそ、上記の怒りが理由でございます。国民の税金で高給取りなんてゆるされるわけがない、国民の怒りを買わないために給与水準を下げようということだったわけで、それがバブル崩壊で勝手に相対的に高給取りとみなされるようになったわけですから、いい面の皮でございます。
あと、何人か進学校から官僚になってはた目からはいかにもなエリートコースを進んでいる知り合いがいるんですが、彼らは「優秀だから官僚になった」わけじゃありませんからね。「出来が悪いから官僚になった」のです。
進学校のトップの人たちは軒並み医者を目指すわけで、「俺は医者になるほど優秀じゃないから仕方なく官僚の道を選んだ」と挫折感すらもっている人間が多いのです。
そして、現在。
正規雇用の公務員はそりゃそれなりにもらっているでしょうが、いまじゃ非正規雇用の皆さんが本当の安月給でこの国をささえてる状態です。一部のリベラルさんが目の敵にするような相手が、どの程度この世に実在するんでしょうねえ。