東京ラブストーリー・ヒットの影に織田裕二の壮絶な過去があった

 

この記事では、鈴木保奈美は「赤名リカ」、織田裕二は「織田裕二」と表記します。なぜ一方が役名で一方が役者名なのか…特に説明はしないのですが、読んでるうちに、なんとなくわかってくると存じます。

〈目次〉


トレンディドラマの画期を成す作品「東京ラブストーリー」とは。

東京ラブストーリー」に逃げ場は全く無い

バブル期のトレンディドラマにおきましては、主要登場人物が最終回近くで、遠い外国に行ってしまう…そういう展開が多かったと存じます。一説には、余った予算の消化のためスタッフの慰労を兼ねて意味なく海外ロケをするため、とも言われております。

1991年のドラマ東京ラブストーリー。不動産価格は伸びを失い株価は大きく下落、総量規制の悪影響が経済を蝕みつつあったこの年ですが、世間的にはまだまだ、バブルを謳歌していた人が多かった時代です。

トレンディドラマ・オブ・ザ・トレンディドラマと目される「東京ラブストーリー」。時代的にさぞかしバブリーな撮影が行われたかと思いきや、このドラマには、最終回に意味なく海外ロケ、なんて浮かれまくった展開はどこにもありません。最終回、赤名リカはロスに飛び立ちますが、ロスでの彼女の描写などありません。


トレンディドラマを、突き詰めた

トレンディドラマの舞台は、必ず東京です。例えば根室から一歩も外に出ないトレンディドラマ、などありえません根室のみなさん引き合いに出してゴメンナサイ

東京ラブストーリー」がなぜ、トレンディドラマ・オブ・ザ・トレンディドラマなのか。それは、東京、というテーマを突き詰めたからです。

タイトル自体が「東京ラブストーリー」ですよ?考えてみればトレンディドラマ、イコール、東京を舞台にした洗練されたラブストーリー、です。タイトルそのものに、トレンディドラマのエッセンスが凝縮されています。

にも関わらず、このドラマは実は「愛媛ちほー」が、ひとつのキーとなっています。東京、を徹底的に描くために、対比する地方をも描いている。

そうやってトコトン「東京のラブストーリー」を構造的に突き詰めたドラマなのです。だからこのドラマは、トレンディドラマの大きな画期を成し得た。


赤名リカの悲劇、そして東京という街。

赤名リカという女性を読み解く

赤名リカという女性は、つま先から足の先まで全身が”東京”の象徴です「って、つま先と足の先って、いっしょじゃね?(´・_・`)」感情表現、愛情表現が全てにおいて洗練され、都会的で、先端的です。要するに「トレンディ」なのです。赤名リカそのものが、トレンディドラマを体現したキャラクターなのです。

赤名リカは、「エッチしたい?」なんてダッサい求愛表現はしません。
「ねえ、セックスしよう!」。
まるでスポーツジムで汗を流そう、とでも言っているかのようなクールな響きです。しよう!という言い方に強く滲む主体性も見逃せません。男性のキモチなど一切問題外と無視しきった女性主体の物言いです。

言われる方の織田裕二もまあ、元気バリバリですよ。よし、ではめいっぱい汗を流そうかってなりますよ。なにせ、東京に来てからは真面目に振舞ってはいますが、東京に出てくる前はバリバリに暴れてたわけですからね、こんな風に。

「いやコレ、作品がちがう…(´・_・`)」


地方の元ヤン・織田裕二 ※当ブログの脳内設定

セックスはしたものの、そんな洗練された都会の女性である赤名リカに、織田裕二はひたすらに翻弄されます。翻弄といっても、赤名リカが彼を翻弄しているわけではありません。彼が勝手に翻弄されているのです。なぜ翻弄されるのか。「理解できないから」その一点です。

本当は、赤名リカほどわかりやすい女性は他にいません。彼女は常に真剣です。織田裕二に、まっすぐに愛情をぶつけていきます。「彼女は真剣である」この事実だけをしっかり受け止めて彼女の行動を読み解けば、まったく翻弄される要因なんかありません。

ただ、織田裕二には、赤名リカが理解できないのです。その洗練された愛情表現、感情表現、求愛行動がわからず、だから、彼女の真剣さがわからず。勝手に振り回されてしまう。地方出身者である彼はついに最後まで「東京の女」を理解できないまま、同じ地方出身者の有森也実と結ばれます。

まっ、仕方のないことですよ。洗練された都会の女性は、地方出身の元ヤンの若者には荷が重すぎたのです「って、勝手にその脳内設定展開しないでくれます?(´・_・`)」

「だからその画像繰り返し貼るのやめれ!((((;゚Д゚)))))))」


しかし、その展開が、コア視聴者である東京のOLたちの怒りを買います。

東京、夜の街からOLたちが消えた

もしも赤名リカの相手が、若き日の木村拓哉のような洗練された美青年だったら、「東京ラブストーリー」は、どんなに退屈なドラマになっただろうと思いますよ。赤名リカを、キムタクがあっさり受け入れてそれで終わりです。

「あ?ごちゃごちゃ言ってっけど、要するにお前、俺のことが好きで好きでたまんないんだべ?わかった、またセックスしようぜ。そんで子ども作って結婚して、幸せな人生いっしょに歩こうぜ。お前が好きだ」
くらいの返しが、赤名リカのような洗練された都会の女性には必要なのですが。それは若き日のキムタクみたいな洗練された美青年にはできても、イケメンではあったけど野生の猿みたいだった若き日の織田裕二には、ムリな相談です。

視聴者には、赤名リカの真剣さは丸わかりです。しかし劇中の織田裕二には、どうしてもそれが理解できない。常に後から、あっ、あの時、彼女は真剣だったんだ、とわかるパターンの繰り返しです。それがヤキモキする展開を作り出し、月曜の夜は銀座からOLの姿が消えた、と言われた大ヒットにつながりました。

しかし、東京の、主体的で、自由で、それでいてまっすぐな、先端的な”トレンディ”な女性に背を向け、地方出身の、受け身で、平凡で、安心できる、それでいて若干打算的なところもある女性と結ばれる…この展開は、東京のOLたちの怒りも買いました。今で言えば大炎上ですね。二人を別れさせないで!フジテレビに火をつける!という投書が殺到したとかいった、都市伝説もあるほどです。。。その怒りをモロにかぶった恋敵役の有森也実の現在のWebプロフィールには「東京ラブストーリー」は、記載されていません。


結論として

要するに、東京ラブストーリーのヒットの大きな要因は、赤名リカ、という東京そのものと言ってよい女性が好きになってしまった相手が、よりにもよって地方出身の元ヤンだったと「その脳内設定いい加減やめてもらえます?(´・_・`)」

東京そのものともいえる女性を理解できない地方の男性。その対比自体が、ひとつの優れた東京論になっている。かつ、ドラマとしてはすれちがう二人、という王道展開を産んだのでありました。


補足。

「………で。”壮絶な過去”ってどうなった?」




えっ。




「とぼけンな!タイトルに書いてある、織田裕二の壮絶な過去、ってやつだよ!そのハナシどこいった!」




だから!さっきから、ずーーーっと書いてるじゃないですか!コレですよコレ!




壮絶だ!ホント、壮絶な過去ですよね!




…。

「…………コノヤロ(´・_・`)」

お気に召しましたら、ブックマークをお願いします。