女の子の一番大切なもの=セックス?山口百恵「蒼い時」の衝撃。

 

山口百恵が書いた「蒼い時」という本は、発行当時、世間に衝撃を与えました。

まずは、いわゆるタレント本、暴露本のたぐいとして衝撃を与えました。というより、いわゆるタレント本、暴露本という域を越えていた。

アイドルが自ら、自分の本音を書き殴るという行為自体が衝撃的だった時代。に。たとえば彼女の曲の初期の傑作に「ひと夏の経験」という曲があって、その中に「あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ」という歌詞があって。

こんなもん、今じゃあたりまえの平凡な歌詞表現ですが、当時は、これは相当に過激な表現だった。15歳のアイドル歌手が、歌うような言葉ではなかった。そして…。

インタビュアーは、みな一様に薄笑いを浮かべて、”女の子の一番大切なものって、なんだと思いますか?”と聞くのだ。どう答えれば、彼らは満足すると言うのか。セックス、とでも、答えれば満足なのか。

…こんなこと書かれたら、当時インタビューした人たちはみんな、ショボーンですよね(大爆笑)。

で、この文章はこう続く。

セックス、とでも、答えれば満足なのか。私は”まごころです”という回答で押し通した。それは、私の本音でもあった。この曲を歌ううちに、自然と私の中に、その思いは育っていた。女が、男に身をまかせるということは、簡単なことではない。まごころをささげなければ、出来ることではない。

見事、というしかない。若干15歳の少女が、そこまで真剣にものごとを考え、突き詰めて歌っていたわけです。受け手も、うひゃー、過激な歌だなァー、なんていってその歌を消費しながらも、その裏にある真摯な思いを、どこかで感じ取っていたのではないかと。だから、彼女は、カリスマになれた。

そう、最初はこの本はいわゆるタレント本、暴露本として衝撃を与えましたが、そのうち、その域を越えて評価されるようになりました。当時はまだまだ、女性の権利や立場が軽く扱われていた時代。あの時代に、ここまで女性の本音というものを、強い言葉で、正確に伝えた本が他にあったか。この現代でも、ここまで書かれた本はなかなか見当たらない。

この本は、もしかしたら、日本人の女性観が変わっていく、大きな流れのひとつのきっかけになったかもしれない。そのくらい、この本が世の中に与えた影響は、大きかったのです。

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